2歳の夏。私は初めて両親と離れて旅行をしました。
行き先も分からずに、祖母と叔母に連れられて、
まるで近所に出かける感覚で、夜行列車に乗りました。
何時間も列車に揺られて到着した場所はまだ夜が明けておらず、
バスの停車場のようなところで、三人でぼーっと過ごしました。
朝日が昇り始めた頃、
ようやくやってきたバスに乗って
更なる目的地へ移動しました。
目的地は、祖父の弟の家。
私にとっては大叔父さんに当たります。
大叔父さんは戦後、
実家から600キロ以上離れた本州の北の地に
開拓民としてやって来ました。
極寒の地。
荒れて痩せた土地。
作物が満足に収穫できないため、
細々と酪農を始めました。
朝から晩までまじめに働いても、
新しい洋服一着買えないくらい貧しい暮らしだったようです。
開拓民としてやって来てから20数年後、
ようやく新しい家を建てることができました。
その新居を訪れるために、
祖母と叔母と一緒にやって来たのでした。
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